
Our Story
ハイキングの時間も、家や街で過ごす時間も、僕にとってはひと続きの毎日の一部です。その連続した時間のなかで、無理なく、気持ちよく動けるように。RIDGE MOUNTAIN GEARは、そんな感覚にそっと沿う道具と服をつくっています。
2011年
登山を始めました。
山を歩くようになると、道具のことが気になって仕方がなくなります。軽さや使いやすさはもちろん、手に取った瞬間の「しっくりくる感じ」。言葉にしづらいけれど、確かに存在する基準がありました。山に行くたび、その輪郭が少しずつはっきりしていくような感覚です。
その頃に始めたのが、登山ブログ「RIDGE」でした。
山の記録とあわせて道具についても書き続けるうちに、次第に「自分で作ること」へ関心が向いていきました。そこで出会ったのが、MYOG(Make Your Own Gear)という文化です。自分の手で作り、フィールドで試し、必要があれば直す。思いどおりにいかない日も含めて、その繰り返しが自然に思えました。
ブログには、自作したギアのことも掲載していきました。
完璧ではなくても、「こういうものが欲しかった」という実感に正直でいること。そうして発信を続けるうちに、少しずつ「欲しい」と言ってくださる方が現れました。最初は一つずつ。依頼を受け、その都度きちんと作ってお渡しする。小さなやり取りが重なって、制作は少しずつ続いていきました。

2012年
「RIDGE MOUNTAIN GEAR」という名前をつけました。
登山ブログ「RIDGE」から生まれた山道具だから、RIDGE MOUNTAIN GEAR。単純です。
当時住んでいたアパートの折り畳みテーブルにミシンを乗せ、最初はお財布から縫い始めました。作業スペースは2畳ほど。限られた環境でしたが、手を動かすには十分でした。布に針が入っていく音が、そのまま次の日の自分を支えてくれるような夜もありました。
その後、お財布だけでなく、少しずつアイテムが増えていきます。
中でも反響が大きかったのが「Shoulder Pack」でした。サコッシュのように、必要なものを必要な分だけ持ち歩ける小さなバッグです。
「これが欲しい」という声が増え、個別に一つずつ作ってお渡しする方法だけでは追いつかなくなっていきました。作る手は一つでも、届いてほしい先が確かに増えていく。そんな手応えがありました。

2015年
都内でアパレルメーカーに勤務しながら、RIDGE MOUNTAIN GEARの制作を続けていました。
作業場所は、自宅のメゾネットマンション(賃貸)の階段下にある、わずかなスペース。身体を少しずらしながらミシンに向かうような場所でしたが、不思議と落ち着く環境でした。狭さの分だけ、余計なものが入ってこない。目の前の作業に集中できたと思います。
そして2015年2月、ECサイトをオープンしました。
規模を広げるためというより、作ったものが必要な方へ届く流れを整えるためでした。ひとつずつ手渡していた関係を、途切れさせずに続けるための、ささやかな入口だったのかもしれません。
同じ2015年、「山と道」に入社したことをきっかけに逗子へ移住します。
逗子に移ってからもしばらくは、マンションの一室をアトリエとして使用していました。生活のすぐ隣に制作がある。その距離感のまま、作り続けたかったのだと思います。窓の外の空気が変わるだけで、手元の感覚が少し変わる日もありました。
2016年、登山ブログ「RIDGE」を終了しました。
書く場所がなくなったというより、制作の比重が少しずつ大きくなっていった結果として、自然な区切りを迎えました。記録は形を変えて、作るほうへ寄っていったのだと思います。
2015年11月から2019年11月までの4年間、「山と道」に在籍しました。
ものづくりに向き合う視点、継続するための仕組み、そして現場の速度感。多くの学びを得た期間でした。見えない部分まできちんと整えることが、最終的に“道具の安心”につながる。その実感は、いまにも残っています。

2019年
独立後は、自宅近くの平屋を借りてアトリエとして使用しました。
1961年築の古い平屋をリノベーションした物件で、夏は灼熱、冬は極寒。床がところどころ傾いているなど、扱いづらさもありました。
それでも、狭いながらも強い「ガレージ感」があり、気に入っていた場所です。季節の厳しさごと、作る時間の記憶になって残っています。

2022年
そして、現在のアトリエへ移転しました。
制作と発信の拠点が定まり、日々の作業がより整いました。環境が整うことで、ようやく落ち着いて見えるようになったこともあります。けれど、やっていることの本質は変わりません。目の前の一つひとつに向き合い、きちんと作る。それを積み重ねていくだけです。
2021年7月には、株式会社RIDGEを設立しました。
大きな転換というより、積み重ねてきた活動を、長く続けていくための器を用意した、という感覚に近いかもしれません。作ることを続けるために、必要なところだけを整えていく。今もその延長線上にいます。



RIDGE MOUNTAIN GEARは、派手なことは得意ではありません。
それでも、使うたびに静かに効いてくる道具を作りたいと思っています。
山の時間に寄り添い、持つ人のリズムを乱さないもの。
これからも、その基準は変えずに続けていきます。
About us
ブランドの考え方と、これまでのあゆみ。